【古典ギリシャ語・ラテン語】私の好きな「ことば」

古典ヨーロッパ言語を学ぶと,どうも日本語のセンスにはない「ことば」に巡り合える機会が多い気がする。

わたしが一番好きな古典ギリシャ語・ラテン語セットの言葉は以下である。(全部カタカナで書いた)

 

★ラテン語

イン プリンキピオー エラト ウェルブム
エト ウェルブム エラト アプド デウム
エト デウス エラト ウェルブム


☆古典ギリシャ語

エン アルケー エーン ホ ロゴス
カイ ホ ロゴス エーン プロス トーン テオン
カイ テオス エーン ホ ロゴス


■日本語

はじめに言葉があった。
そして言葉は神のそばにあった。
そして言葉は神であった。

 

 

このラテン語とギリシャ語の「ことば」を同時に書いた紙をトイレのドアに張り付けて何度も読むうちにすらすら頭の中で言えるようになった。自分の脳みそって恐ろしい子・・・

この文章は本当にいい。なんかヨハネなんたらで有名な言葉らしい。私はぶっちゃけ古典ギリシャ語,ラテン語学ぶ前はこんな言葉の存在すら知らなかった。勉強を始めて,上記で示した言葉を読むと,なんか覚えやすくて何度も読んでしまったのを覚えている。

 

大西英文さんの「はじめてのラテン語」という本を挙げる。
上記のヨハネなんたらの言葉を紹介している。「ラテン語」の本なのに古典ギリシャ語も合わせて紹介しているのが私の気に入った点である。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E8%AA%9E-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E8%A5%BF-%E8%8B%B1%E6%96%87/dp/4061493531

もし大西さんのラテン語の本が無かったら,私はラテン語も古典ギリシャ語を学ぶことはなく,ずっとロシア語とか別の言語を学んでいたんだろうなって思う。

 

ヨハネの言葉の3行を何回も何回も唱えるうちに,この文章にある「ことば(ウェルブム・ロゴス)」の本質は何なのか考えるようになった。


以下,私の自分勝手な解釈。「ことば」からいろいろ想像するのは面白い。たとえ間違っていてもね。

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人間は「ことば」を持つ。動物には「ことば」を持たない。
人間が「ことば」を持つようになると,その「ことば」を用いて「神様」という存在を作り上げた。
しかし一方で「神様」は実は「ことば」と同時に存在していた。
すなわち「ことば」は「神様」から与えられた道具と考えられていた。
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つまり・・・大昔のヨーロッパ人は神を人間が作ったものと考えず,「ことば」をもたせた起源となる「神様」がいたと思っていたのだろうか?そこらへんはキリスト関連の本を読めばわかると思うけど私は宗教思想には興味ないしなぁ・・・。どちらかと言うと科学とか数学とかの現実派だな。


むかーしむかーしの人が直接作った「ことば」を翻訳なしで原文で読むと,昔の人の考え方に近づけるような気がして面白い。日本語翻訳を読んでも「んん???どうしてそんな訳になったんですか???」の方に疑問を抱きがちかな?

 


それに,「ことば」に関する3行の文章って結構文法勉強になる。

ラテン語,古典ギリシャ語はbe動詞に該当する単語の活用が不規則すぎて「お前be動詞だったのかよ!!」っていうほど訳が分からない。でも3行の文章をすらすらいえるようになると,「不完了過去三人称単数」とかいう訳分からない文法用語でも,ああ、ラテン語では「エラト」,古典ギリシャ語では「エーン」のことだねーで済ませれる。

更に言うと,ラテン語は冠詞が無くて古典ギリシャ語は英語みたいに冠詞があるねーって面白くなる。私がヨーロッパ言語で英語しか知らなかったころは,ヨーロッパ言語は全部「冠詞」が存在する!!って思い込んでいた。英語主義の思想が強かったのだろうか?
でも実際にいろいろヨーロッパ言語を学ぶと「え!?ロシア語って冠詞ないの!!」ってびっくりしたのはいい思い出。

また,昔のヨーロッパ言語は文法どうなっていたんだろうなーってラテン語、古典ギリシャ語でのぞいてみたら「今も昔もたいして文法変わってないじゃんwww」というのが私の感想。確かに英語は活用,曲用がほとんどなく,語順主義に代わってしまったんだけど,英語をよーーーーく見てみると,実際は活用,曲用しているじゃない??とみることもできる。

I have a pen.  私はペンをもっている
You have a pen. あなたはペンを持っている

このhaveの動詞は英語上では形は同じなんだけど,ラテン語,ギリシャ語の立場からみると「have」ってIの場合とyouの場合でたまたま同じ形になっているに過ぎないんじゃない?と思う。

そういう観点で考えると,ヨーロッパ言語は今も昔も文法の根本は変わっていないと感じる。

 

そういう意味で,わたしはあの三行の「ことば」が気に入っている。こんなくだらねぇたったの三行の「ことば」でこんなに長く語れる私って・・・・
なんか外国語勉強が好きになってから考えがガラって変わったなぁ・・・